その他の参考事項
吸引力値の変動について
 DCソレノイドの吸引力の変化が起こるのは次の場合が考えられます。
@周囲温度が高くなる場合。
Aソレノイドの連続運転によりソレノイド自身の温度が変化する場合。
Bソレノイドへの供給電圧が変化する場合。

これらはいずれにしてもこの変化によりソレノイドのアンペア回数が変化し結局、吸引力が変化したと考えられます。@およびAの場合はともに主として励磁コイルの抵抗変化によりアンペア回数が変化するためです。吸引力値は概算的にはアンペア回数の2乗に比例すると考えられますが、主として鉄心の磁気飽和の影響により成り立たない場合が多いのです。 またDCソレノイドの動作初期と動作終期では、鉄心間の空隙量が変化するため磁気飽和の程度が異なり、初期吸引力値の変化量と終期吸引力値の変化量とは異なります。
温度変化にともなうコイル抵抗値の変動について
 吸引力は励磁コイルの温度上昇にともない減少する傾向があり、また、周囲温度の影響を受けます。これは主として励磁コイルの抵抗増加によりアンペア回数の減少に基づく物です。いま温度の抵抗値におよぼす影響を調べてみますと一般に温度t℃における抵抗Rtは温度20℃における抵抗R20

            Rt          α(t−20)
          ──── = 1+───────          α=0.00427
            R20         1+α0t
または
            Rt
          ──── = 1+α(t−20)
            R20
ただし
                α
          α= ─────── = 0.00393
              1+20α
また一定電圧のもとではアンペア回数(A・T)は抵抗に逆比例するから
            A.Tt      R20
           ──── = ───
            A.T20     Rt            A.Tt : t℃の時のアンペア回数
                                   A.T20 : 20℃の時のアンペア回数
弊社のDCソレノイドの温度上昇は85℃ですので周囲温度20℃の時、最大105℃まで上昇することになります。

 従って
            A.Tt      R105
           ──── = ───
            A.T105     Rt 
                           を各温度につき求めれば、温度変化に対するアンペア回数比とする事が出来ます。これを下図に示します。  

温度変化とコイル抵抗値の変化